プロフィール
vol.10東京都在住 (29歳 女性)

基礎医学系大学院生
趣味  :和楽器、踊り
ひとこと:研究生活は、気になることを徹底的に追求したいという性格に合っているようで充実した日々を過ごしています。

基礎研究という選択

 大学を卒業して丁度3年目になりました。この2年間に臨床研修、病気でやむなく中途退職、療養生活、大学院入学と卒業時には全く想定していなかったことが沢山起こりました。
 私は子供の頃より医学に対してとても興味を持っていましたが、医師という職業はあまり自分に向かないように思え、医学部進学も正直迷っていました。医学部入学後は、周囲が当然のように臨床医としての道を志していましたし、卒後臨床研修が必須という流れもあって研究に進もうという気持ちは自然と薄れていました。少し人よりコミュニケーションが苦手だったり、体力に自身がなかったりと心配な事もありましたが、頑張れば何とか研修も終えることが出来るだろうと自分に言い聞かせていました。

 しかし、実際研修医として働き始めると、周りの先生方、同僚、患者さんとのコミュニケーションに加え、ゆっくり考える間も作れないほどの忙しさ。更にようやく環境に慣れてきた所でローテーションがあり、全く新しい環境に馴染まねばならないという、自分にはとても対応していけない状況に徐々に心身を蝕まれていきました。そして何より苦しかったのが、現在施されている治療が意外と根拠に乏しいものも多いという事でした。「何故こうなるのだろう」「効果の個人差はどういった機序によるものなのだろう」と様々な疑問が頭に浮かびすぎて病院を離れても、夜布団に入っても現在行っている治療が本当に正しいのか気になって気になって少しも休めませんでした。

 そんな日々が続く内、とうとう体調を崩し休職。この時は担当していた患者さん、チームの先生や周りの同僚、両親に対して申し訳なく、自分の不甲斐なさに打ちひしがれる毎日でした。この先どうしようという不安にも毎日苛まれました。例え休んで体力が回復しても、再び研修を続けられる自信が全くなかったからです。2年間の研修を終えなければ、医師免許を持っていても何の役にも立たないと思い込んでいたのも不安の原因でした。後々この考えは間違っていたとわかるのですが・・・。

 しばらく休養している間、色々と考えました。自分に何が出来るのだろうか、自分にとって生きていくとはどういう事なのか、改めて問い直しました。その時に思い至ったのは、自分にとって生きるとは考える事、疑問に思う事、そして追求していく事だという結論でした。その「考える」を自分が身につけてきた医学の分野で生かしてみたいと思いました。
具体的にこれという研究テーマがあったわけではなかったのですが、興味のある分野、手法を用いた教室を訪ね、何度か教授にお話を伺い大学院進学を決めました。学費など金銭面の心配はかなりありましたが、そこは何とか親を説得し、多少援助してもらえることになりました。

 研究は全くの初心者だったのですが、周りの先生方のおかげで様々な手法、考え方を学び、今は楽しく研究生活が送れています。かなり心配していた金銭面も、研修を終えていない為病院勤務は出来ないのですが、医師として出来る仕事は様々あり、週1日程バイト日をもらって何とかやっていけています。
 私の経験談はあまり「ためになる」とは思えないものですが、この先医師になる皆さんに、医師として様々な選択肢があるという事を紹介したくあえてこういった内容に致しました。誰にでも、思いがけないトラブルや自信を失う出来事はあると思いますが、自分なりのpolicyを持って信じる道を進んで欲しいと思います。

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